informationコラム
育児・介護休業法改正(2022年10月1日)のポイント
~育児休業の分割取得、産後パパ育休制度が施行されます!~
育児・介護休業法の改正により、令和4年10月から、育児休業の2回までの分割と、産後パパ育休(出生時育児休業)の制度が施行されます。男性の育休取得率は年々高まっていて、厚生労働省の調べでは2021年度に13.97%と過去最高になりました。しかし、女性の取得率(85.1%)と比べると低い割合です。そのため、政府は、2025年までに男性の育休取得率を30%にする目標を掲げています。
育児・介護休業法は2021年6月に改正され、男性の育休取得を後押しする施策を中心に、2022年4月から段階的に施行されています。今月のパートナーニュースでは、2022年4月にすでに施行されている内容と、10月から施行される内容について解説したいと思います。
1.雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化(令和4年4月1日施行)
(1) 育児休業を取得しやすい効用環境の整備
育児休業と産後パパ育休の申出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下のいずれかの措置を講じなければなりません(複数の措置を講じることが望ましいとされています)。
① 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
② 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備(相談窓口措置)
③ 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
(2) 妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と休業の取得意向の確認を、個別に行わなければなりません。
※取得を控えさせるような形での個別周知と意向確認は認められません。
周知事項 | ① 育児休業・産後パパ育休に関する制度 ② 育児休業・産後パパ育休の申し出先 ③ 育児休業給付に関すること ④ 労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取扱い |
個別周知・ 意向確認の方法 |
① 面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか※注:①はオンライン面談も可能。③④は労働者が希望した場合のみ |
2.産後パパ育休(出生時育児休業)の創設・育児休業の分割取得(令和4年10月1日施行)
(1)産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
10月から創設される「産後パパ育休(出生時育児休業)」は、通常の育児休業とは別の制度で、男性版育休といわれています。産後パパ育休は、原則休業の2週間前までに申し出ることで、出生後8週間以内に4週間までの休暇を取得できます。なお、初めにまとめて申し出れば、分割して2回取得することも可能です。
※産後パパ育休(出生時育児休業)の期間中は、就業しないことが原則ですが、労使協定を締結することにより、休業中に就業してもらうことも可能になります(就業日数や就業時間数に上限あり)。
(配偶者の死亡や配偶者が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害その他これらに準ずる心身の状況を理由として産後パパ育休の申出に係る子を養育することが困難等の場合)
(2)育児休業の分割取得
現行の育児休業では、下図のように、育休は分割して取得することはできません。
(厚生労働省:「育児・介護休業法改正のポイント」リーフレットより)
改正法施行後の2022年10月1日からは、子が1歳になるまでの育児休業を分割して2回取得することが可能となります。
1歳以降の育児休業の延長では、育児休業開始日は1歳。1歳半の時点に限定されていましたが、改正後は、育児休業開始日を柔軟に設定できます。改正前は、1歳以降、再取得ができませんでしたが、特別な事情がある場合に限り再取得可能となります。
以下の特別な事情がある場合は、1歳以降の育児休業の再取得が可能です。
・他の子の産前・産後休業、出生時育児休業(産後パパ育休)、介護休業又は新たな育児休業の開始で育児休業が終了した場合で、育休中の対象だった子等が死亡等したとき
3.男性の育児休業給付金、社会保険料の免除について
(1)雇用保険の育児休業給付金
育児休業中は会社から給与が支給されません。しかし、産後パパ育休(出生時育児休業)中および育児休業中は、要件を満たせば、雇用保険の育児休業給付金が支給されます。
【受給資格】
1)育児休業開始前2年間に雇用保険被保険者期間が通算して12か月以上あること
2)有期雇用労働者は、休業開始時に同一事業主の下で1年以上雇用継続されており、かつ子が1歳6か月までの間に労働契約が終了することが明らかでないこと
【支給額】
休業開始時賃金日額(※1)×支給日数×67%(育児休業開始から6か月まで(※2))
(※1)原則、育児休業開始前6か月間の賃金を180で除した額
(※2)育児休業開始から6か月経過後は50%
(2)2022(令和4)年10月から育児休業給付金が変わります
改正後の産後パパ育休(出生時育児休業)、育児休業の分割取得に対応して、2022年10月から以下のように変わります。
・1歳未満の子について、原則2回の育児休業まで、育児休業給付金を受けられるようになります。
・3回目以降の育児休業については、原則給付金を受けられませんが、以下の例外事由に該当する場合は、この回数制限から除外します。
・育児休業の延長事由があり、かつ、夫婦交代で育児休業を取得する場合(延長交代)は、1歳~1歳6か月と1歳6か月~2歳の各期間において夫婦それぞれ1回に限り育児休業給付金が受けられます。
(3)社会保険料の免除
育児休業期間中は、要件を満たせば、社会保険料が自己負担分および事業主負担分ともに免除されます。
免除の要件は、「その月の末日が育児休業中である場合」となりますが、2022年10月以降は、それに加えて以下の要件が追加されます。
・「その月の末日に育児休業中でなくとも、同一月内で14日以上の場合」を新たに保険料免除の対象として追加
・「賞与に係る保険料については、連続して1か月を超える育児休業を取得した場合」に限り保険料を免除