informationコラム
令和4年度における育児・介護休業法に基づく是正指導状況
~厚生労働省は、「令和4 年度都道府県労働局雇用環境・均等部(室)における、育児・介護休業法に関する相談、是正指導の状況について」を公表しました~
厚生労働省は令和4年度における育児・介護休業法に基づく相談及び是正指導状況を明らかにしました。それによると、改正法によって昨年10月に施行した出生時育児休業に関する違反があったとして、130件の是正指導を行っています。また、同年4月施行の雇用環境整備違反は1,461件にのぼりました。 令和2年度の調査から、是正指導件数は減少していますが、相談件数は令和2年度から年々増加しています。 中でも、育児休業法は、頻繁に改正されているので、対応に注意が必要です。
■育児・介護休業法の施行状況
(1)相談の状況
◆ 相談件数は 115,006 件 (対前年度比 35.2%増)
◆ 育児関係の相談が、94,443 件(82.1%) 介護関係の相談が 15,483 件(13.5%)
◆ 育児関係では「育児休業」が 70,868 件 (75.0%)「育児休業以外(子の看護休暇、 所定労働時間の短縮の措置等など)」が 13,805 件(14.6%)「育児休業に係る 不利益取扱い」が 5,116 件(5.4%)の 順になっている。
◆ 介護関係では、「介護休業」が 7,998 件 (51.7%)「介護休業以外(介護休暇、 所定労働時間の短縮の措置等など)」が 5,892 件(38.1%)「介護休業等に関する ハラスメントの防止措置」が 896 件(5.8%)の順となっている。
◆ 契約期間の定めのある労働者からの相談内容をみると、「育児休業」が 1,237 件(65.4%)「育児休業に 係る不利益取扱い」が 400 件(21.2%)「介護休業」が 223件(11.8%)「介護休業に係る不利益取扱い」 が 30 件(1.6%)となっている。
【育児休業に関する具体的な相談内容】
・第5条関係(育児休業の申出) 労働者は、その事業主に申し出ることにより、 育児休業をすることができる。
・第10条関係(育児休業に係る不利益取扱い) 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、その他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならない。
(不利益取扱いの例) ・解雇すること ・期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと
・派遣労働者として就業している者について、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと等
(2)是正指導の状況
◆ 4,458事業所を対象に雇用管理の実態調査 を行い、このうち何らかの育児・介護休業法 違反が確認された3,835事業所(86.0%)に 対し、14,791件の是正指導を実施した。うち 育児関係は7,582件、介護関係は5,677件。
◆ 指導事項の内容は、育児関係では、「第25 条関係」が1,606件(21.2%)「第5条関係」 が1,563(20.6%)第22条第1項関係」が、 1,461件(19.3%)となっている。
【育児休業に関する具体的な指導内容】
・ 第25条関係(休業等に関するハラスメントの防止措置)が1,606件(21.2%)
<第25条関係(休業等に関するハラスメントの防止措置)とは?>
事業主は、育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する制度又は措置の利用に関する言動により、労働者の就業環境が害されることがないよう、労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。 事業主が講ずべき措置の内容については、以下のように定められている(指針第2の14(3))
① 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
② 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること。また、相談窓口担当者が、相談に対し、 その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。
③ 職場における育児休業等に関するハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
④ 職場における育児休業等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置
⑤ 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知すること。
⑥ 相談したこと、事実関係の確認等の事業主の雇用管理上講ずべき措置に協力したこと等を理由として解雇その他の不利益取扱いを禁止する。
・ 第5条関係(育児休業)が1,563件(20.6%)
<第5条関係(育児休業)とは?> 育児休業の申出:労働者は、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。
(参考) 第6条:事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない。
・ 第22条第1項関係(雇用環境整備)が1,461件(19.3%)
<第22条第1項関係(雇用環境整備)とは?>
事業主は、育児休業及び産後パパ育休の申出が円滑に行われるようにするため、次のいずれかの措置を講じなければならない。
① 雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施 すべての労働者に対して研修を実施することが望ましいが、少なくとも管理職の者については 研修を受けたことのある状態にすべき。
② 育児休業に関する相談体制の整備 相談体制の窓口の設置や相談対応者を置き、これを周知する。窓口を形式的に設けるだけでは足らず、実質的な対応が可能な窓口を設けること。
③ 雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集・提供 自社の育児休業の取得事例を収集し、当該事例の掲載された書類の配布やイントラネットへの掲載等を行い労働者の閲覧に供すること。
男女とも仕事と育児を両立できるように、産後パパ育休制度(出生時育児介護休業制度)の創設や雇用環境整備、個別周知・意向確認の措置の義務化などの改正が行われています。
育児・介護休業法改正のポイント
~令和4年4月1日から3段階で施行~
男女とも仕事と育児を両立できるように、産後パパ育休制度(出生時育児介護休業制度)の創設や雇用環境整備、個別周知・意向確認の措置の義務化などの改正が行われています
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